【昔話】カラスの行水【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、貧乏な男が住んでいました。
あまりに貧乏だったので嫁をもらうことができず、男はあぜ道に寝転がっていました。
陽が暮れてきた頃、男が家路につこうとしていると、どこからか下駄の足音が聞こえてきました。
やがて後ろから、若い女が小走りでかけてきました。
そして女は突然「わたしをお嫁さんにしてください」と言いました。
男は思いがけない発言に驚きましたが、女と結婚し、仲良く新婚生活を送りました。
嫁になった女は、毎日一生懸命働きました。
しかし女は大のお風呂嫌いで、なかなか風呂に入ろうとしませんでした。
あまりに汚れた女を見かねた男は、「今日こそ風呂に入れ」と怒鳴りました。
女はしぶしぶお風呂に入ったのですが、あっという間に洗って上がってきました。
男は、毎回あっと言う間に上がってくる女が不思議で仕方ありませんでした。
どのようにお風呂に入っているのか確かめてみようと、こっそり覗いてみると、そこには真っ黒なカラスがいました。
男が驚いて声を出すと、カラスは「わたしにはわたしのお風呂の入り方があったのに…」と言って飛び去ってしまいました。
カラスだった女はそれっきり戻ってくることはありませんでした。