【昔話】ウグイス長者【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、お茶売りの男が住んでいました。
ある寒い夜、男は山で道に迷っていると、梅の花が咲いた木を見つけました。
木の下には、それはそれは美しい娘が4人もいました。
娘たちに導かれるまま、男は娘たちの住む屋敷へ行きました。
屋敷には母親と娘の5人が暮らしており、母親は男に向かって「女ばかりで心細いので、よろしければ4人娘の1人と結婚してここに住んでくれませんか?」と言いました。
突然のことに驚きましたが、男は快諾し、その日から娘たちと楽しく遊びながら暮らしました。
ある日のこと、母親が「娘たちと外出しますので、退屈であれば4つある蔵を開けて遊んでください。ただし、4つめは絶対に見てはいけませんよ」と言いました。
絶対に見ないと約束をし、母親と娘たちは出かけていきました。
早速1つめの蔵を開けてみると、中には夏の景色が広がっていました。
男の体は鳥になったように、夏の海の上を飛び回っていました。
2つめの蔵は、秋の景色で、男は紅葉した山の上を飛び回りました。
3つめの蔵は、冬の景色で、雪の降り積もった山の上を大はしゃぎで飛び回りました。
男は、4つめの蔵は春に間違いないと思い、これまでの蔵が楽しかったので開けたくて仕方ありませんでした。
そこで少しなら大丈夫だろうと思った男は、4つめの蔵も開けてしまいました。
すると、4つめの蔵は男の予想通り春の景色が広がっており、どこまでも続く梅の木を眺めながら男はその景色に感動しました。
鳥になった男がしばらく飛んでいると、ずーっと先にある梅に5羽のうぐいすがとまっていました。
うぐいすが気になった男が近づくと、5羽のうぐいすが一気にこちらに向かって飛んできました。
男は怖くなって、慌てて蔵から飛び出しました。
蔵から出ると母親と娘たちが立っており、「4つめの蔵を開けないという約束を破ったので、もう一緒に暮らすことはできません」と言いました。
男がふと我に返ると、娘たちと最初に会った梅の木に戻っていました。
しかしそこには娘たちはいませんでした。