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【昔話】望月の駒【あらすじ・ネタバレ】

むかしむかし、信州に望月城という城がありました。
そこは、京の都にもたびたび名馬を差し出すほど優れた馬の産地で有名な土地でした。

ある時、望月城の殿様にとても可愛いお姫様が生まれ、同じ日に、月毛と呼ばれる薄い赤茶色の毛が美しい馬も生まれました。
殿様に大事に育てられたお姫様はすくすく育ち、年頃になると遠くの都にまで噂が届くほど美しい女性に成長しました。
月毛の馬もまた、たてがみが美しくがっしりとした馬に成長しました。

お姫様が13歳になった頃、都のから声がかかり、お姫様は都へ行くことになりました。
その頃から月毛の馬がエサの草を全く食べなくなり、朝から晩まで起き上がらなくなってしまったのです。
月毛の馬は望月の名馬なのでみんなが心配し、手当てをしましたが全く良くなる気配がありません。
困った殿様は占い師に相談してみると、占い師は「お姫様に恋をしているのです」と言いました。
それを聞いた殿様は、無礼者と怒りましたが、お姫様は「都へ行かずここで月毛と暮らしたい」と言い出しました。

さらに困り果てた殿様は、月毛に諦めさせるために無理難題を持ちかけました。
それは、10時の鐘が鳴ってから12時の鐘が鳴り終わるまでに、望月の領地を3周走れというものでした。
月毛は目にも止まらぬ速さで走りぬき、領地を2周しても12時の鐘が鳴るまでにはまだまだ余裕があるほどでした。
しかし、3周走り終わる間際に、鳴るはずのない12時の鐘が鳴りました。
その鐘の音を聞いた月毛は哀しみに打ちひしがれ、足がふらふらのまま深い谷底へ落ちてしまいました。

月毛の死を知ったお姫様は、都ののところへは行かず、長い髪をばっさりと切り落とし、尼さんになりました。


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