【昔話】芋の月見【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、和尚と小僧が住んでいました。
ある日、2人はおいしい煮豆を作りました。
和尚は煮豆を湯飲みに入れて、小僧に見つからないようにトイレで隠れてこっそり食べていました。
小僧も和尚に見つからないようにこっそり煮豆を食べようと、湯飲みに入れてトイレに向かっていました。
トイレの戸を開けた小僧は、和尚と鉢合わせてしまいました。
和尚に見つかってしまっては煮豆は食べられないので、持っていた煮豆を和尚に差し出して「お代わりを持ってきました」と言いました。
ある十五夜の晩、里芋を食べたくなった和尚は、百姓の畑から里芋を盗んでくるように小僧に言いつけました。
和尚は嫌がる小僧を説得し、「畑では、起きろ起きろと言って里芋を掘りなさい」と言い、なんとか畑へ向かわせました。
月明かりの中、小僧が畑で里芋を掘っていると、百姓に見つかってしまいました。
百姓は、盗みに入るとは何事か!!と激怒し、小僧の首根っこをつかんで和尚のいる寺へと乗り込んできました。
怒っている百姓に向かって和尚は「十五夜の 芋の子供の寝入りしを 月見よと 起こすが なんで腹立つ」と、一句読み上げました。
このあたりでは、芋を掘ることを「起こす」と言うので、百姓は何も言えませんでした。
和尚に丸め込まれた百姓は、怒りを収めながら「十五夜だから芋を起こされても仕方がありません、そのかわり食べたりはせずに、芋に月見をさせてやって下さい」と言って、帰っていきました。
それからというもの、このあたりでは十五夜の晩には里芋を供えることになりました。