【昔話】田の神と風の神【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、田の神さまがいました。
田んぼのそばにいる田の神さまは、百姓が働く様子を見守りながら田んぼの実りを守っていました。
ある秋のこと、風の神さまが幼い娘を連れて村へやってきました。
風の神さまの娘はとてもかわいらしくて、風の起こし方を教えてもらって大喜びしていました。
娘に一目ぼれしてしまった田の神さまは、嫁に来てもらおうと交渉に出かけました。
風の神さまは、「まだこの娘は幼いから…」と断っていましたが、田の神さまの熱意に負けてとうとう娘を嫁に出す決心をしました。
2人は年の差を乗り越えて、幸せな結婚生活を送っていました。
やがて春になり、田植えが終わった頃、娘はちょうちょを追いかけて田の上を飛び回り、せっかく植えた苗をめちゃくちゃにしてしまいました。
幼い娘には自分が何をしてしまったのか理解もできていませんでした。
これまでの娘のいたずらに、とうとう堪忍袋の緒が切れた田の神さまは、怒りに任せて娘に離縁を言い渡し、実家に帰してしまいました。
これを知った風の神さまは激怒し、強風を起こしながら村の田んぼの上を飛び回りました。
それからというもの、この周辺では、田植えの時期になると決まってすごい風が吹くということです。