【昔話】夫婦岩【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある山奥に、木ノ村という村がありました。
村には清三郎という体が大きくて気の荒いの男がいました。
清三郎には気が強くて力持ちの嫁と、一人息子がいました。
夫婦は毎晩大ゲンカをしていましたが、この息子のことはとても可愛がっていました。
ある日、嫁が山瓜を取って帰って来ました。
1日中何もせずに家で嫁の帰りを待っていた清三郎は、山瓜を1人で食べようと息子を連れて崖の上に登りました。
それに気が付いた嫁が、崖をよじ登って追いかけていくと、清三郎は上から山瓜を投げつけました。
それでもしつこく追いかけてきたので次から次へと山瓜を投げつけているうちに、清三郎は誤って息子を投げつけて殺してしまいました。
夫婦喧嘩に息子を巻き込んで、後悔しきれなかった2人は、国司神社の前で教えを乞いました。
神さまは「死んだ者は生き返らない。供養のために下の谷から大岩を2つ運んできなさい」言いました。
夫婦は神さまの言われた通り、谷の大岩を持ち上げようとしました。
やがて頭から角が生え、手には鋭い爪が生え、口からは牙が生え、みるみるうちに鬼の姿に変わっていきました。
鬼になっってしまった夫婦は、泣きながら大岩を持ち上げ、神社の境内に投げました。
これを見た神さまは、この岩を「夫婦岩」と名付け、岩に子どもの姿を彫りました。
そして、鬼になった姿で村人たちを驚かせることのないよう、この岩を自分の子どもと思って遠くから供養しなさい、と言いつけました。
こうして、鬼の夫婦は山奥に引っ込み、遠くから息子の供養をしました。