【昔話】おへそ山【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある村に、印徳寺と言う古いお寺がありました。
ある日、印徳寺の和尚さんと小僧がおつとめの経をあげていると、突然天気が悪くなり、大粒の雨が降り注いだと思ったら、裏の竹やぶに雷が落ちました。
和尚さんが様子を見に行ってみると、竹やぶの中で雷神がひっくり返って目を回していました。
すぐに雷神を助けて、小僧と一緒にケガの手当てをしてあげました。
数日後、すっかり良くなった雷神は和尚さんと小僧にお礼を言って、自らのヘソを外して和尚さんに差し出しました。
それはサザエの蓋のような形をしており、ところどころに金色の毛が生えていました。
雷神は、「日照りで困った時に、このヘソを水につけて雨乞いをしてください。」と言いました。
こうして、雷神は裏の竹やぶへ入って空に舞い上がり、あっという間に天へと帰って行いきました。
それから数年後、この村の一帯をひどい日照りが襲いました。
雷神の言葉を思い出した和尚さんは、村人たちと寺の裏にある、松が生えた山の頂上登り、桶に水を張ってその中に雷神のヘソを収めて、雨乞いをしました。
すると雨乞いを初めて3日目に、桶の中のヘソが動いたかと思うと、突然桶の水を空に向かって吹きあげました。
それと同時に空がくもったかと思うと、大粒の雨が降り注ぎ、村は日照りから救われました。
それ以来、雨乞いを行った松の山を「おへそ山」と呼ぶようになり、それからも日照りの時は雷神のヘソを桶に入れて雨乞いを行いました。