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【昔話】矢があたった大黒さま【あらすじ・ネタバレ】

むかしむかしあるところに、長者が住んでいて、広い畑とたくさんの使用人を持っていました。
この長者は、干した菜っ葉ばかりの雑炊を使用人に与えて、朝から晩まで働かせていました。

長者の日課は、毎朝大黒さまにお参りすることでした。
ある時、長者は今までの何倍も儲けようと、使用人を今まで以上働かせることにしました。
使用人の食事も、米粒を減らし菜っ葉の量を増やした、おいしくない雑炊に作り変えました。

そんなある朝、干してあった菜っ葉が踏み散らかされていました。
使用人が犯人だろうと決めつけた長者は、菜っ葉すら入ってない汁だけの雑炊を食べさせました。
ところが、その後も菜っ葉は踏み散らされ続けました。

怒った長者は犯人を捕まえようと、物陰に隠れて見張ることにしました。
夜も更けたころ、菜っ葉のざるに手をかける人影が見えたので長者が手にしていた矢を放つと、人影は苦しそうな声を発して消えてしまいました。

確かに矢は当たったはずなのに…と長者は不思議に思い、大黒さまに相談しようとやってくると、長者の放った矢が大黒さまの胸に突き刺さっていました。
影の正体は大黒さまだったのか、と驚いた長者は、あまりの恐ろしさに気を失ってしまいました。
その間に、大黒さまは蔵から千両箱と米俵を運び出し、目を覚まして集まってきた使用人たちに全て分け与え、そのまま去っていきました。

それからしばらく経って、ようやく目覚めた長者が屋敷を見渡すと、誰一人と屋敷には残っていませんでした。
こうして長者は何もかも失ってしまったのでした。


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