【昔話】しゅのばん【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、平凡と暮らしている男がいました。
男は大工として働き、嫁をもらって毎日仕事をしながら暮らしていました。
男は毎晩飲み屋へ行っては女将を口説いて、やんわりと断られるという日々を過ごしていました。
そんなある日、男がいつものように飲み屋を訪れたのですが、女将は返事もせず振り向きもしませんでした。
何かただ事ではない気配を感じた男に「おまえが一晩中飲み明かしたい相手は、この私かい?」と真っ赤な顔ををした化け物が振り返りました。
ぎょろっとした大きな目と、ツノとキバをはやした何とも恐ろしい赤鬼の顔でした。
男は驚いて飛び上がり、悲鳴を上げて飲み屋から逃げ出しました。
息をきらせてもう一軒なじみの飲み屋に駆け込むと、そこにもさっきの恐ろしい顔をした赤鬼の化け物がいました。
「しゅのばん!!」とお顔にが大きな声で叫ぶと、あまりの恐ろしさに男は地面を這って逃げ出しました。
命からがら自宅にたどり着くと、そこにはいつもの優しい妻が男の帰りを待っていました。
妻までもが赤鬼になっていたらどうしようかと思いましたが、妻だけはいつも通りの妻でした。
翌日から男は飲み屋通いを辞め、妻のために働くことにしました。