【昔話】みょうがの宿【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、宮島の厳島神社へ続く街道筋に、ケチで欲深い夫婦が宿屋を営んでいました。
強欲ぶりが旅人にもわかるのか、客はめったに来ませんでした。
ある日、その宿に久しぶりに客がやってきました。
強欲な夫婦は、「ミョウガを食べると物忘れする」という話を思い出し、この客にたくさんミョウガを食べさせて大金の入った財布を忘れていかせようと計画しました。
亭主が、体に良いからと「ミョウガの重ね食い」と名づけたその献立は、ミョウガの串焼き、ミョウガの浅漬け、ミョウガの三杯酢、ミョウガの煮つけ、ミョウガのお汁、ミョウガ飯、にお酒でした。
ミョウガのフルコースはどれも大変おいしかったため、客は大喜びでした。
翌朝、客は朝食にもミョウガづくしの料理を食べさせられて、フワフワとした気持ちで厳島神社へ出発しました。
亭主が客室に入り財布を忘れていないか確認しましたが、財布どころか何も忘れているものはありませんでした。
がっかりした夫婦は、財布に気を取られて宿賃をもらい忘れていたことに気がつきました。
気落ちした夫婦でしたが、あの客がミョウガ料理のうまさをあちこちで噂してくれたので、それからその宿は「ミョウガの宿」と呼ばれ、大繁盛しました。