【昔話】名刀の切れあじ【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、いたずら好きな庄屋がいました。
夜中に鬼の面をかぶった庄屋は、臆病な下男の恒平を驚かして喜んでいました。
ある日、庄屋は夜中に恒平をお使いに出し、鬼の面をかぶって真っ暗な峠で驚かそうと考えました。
となり村の庄屋に手紙を届けて来いと命じられた恒平は、怖くて仕方ありませんでしたが、守刀として屋敷の宝「名刀 青江祐定」を借りることにしました。
庄屋は何も言わずに祐定を貸しましたが、実はこっそり中身を竹光にすり替えていたのでした。
中身が竹光とは知らない恒平は、真っ暗な山道をとなり村へと歩いていきました。
恒平が伸び上がり坂と呼ばれる急な坂道を登り峠まで来たとき、庄屋が化けた鬼が現れました。
鬼が大石を投げつけてきたので、覚悟を決めた恒平は竹光を抜き大石を切り払うと、庄屋が入れ替えたはずの竹光は、大石をばらばらと切り裂いたのでした。
庄屋は大慌てで、竹光を持って斬りかかってくる恒平から逃げ回りました。
結局、かぶっていた鬼の面を真っ二つに切られ、頭にケガをして逃げ帰りました。
翌朝、何も知らない恒平は、となり村の庄屋からの返事を持ち帰り、鬼を退治した名刀青江祐定の切れ味を庄屋に報告しました。
それ以来、庄屋は人をからかって喜ぶことをしなくなりました。