【昔話】狼のまゆ毛【あらすじ・ネタバレ】

むかしむかしあるところに、おじいさんが住んでいました。

ある年、おじいさんは家と畑を台風で流されてしまい、何もかも失ってしまいました。
それからおじいさんは、毎日村人たちの家を回って鍋を借り、鍋にこびりついた米粒をこっそり取って食べて生活していました。

そんなある時、村人たとちに米粒を食べているのを知られてしまい、誰もおじいさんに鍋を貸してくれなくなってしまいました。
おじいさんは仕方なく、寒い冬の山に食べ物を探しに出かけましたが、空腹と寒さで木の下に倒れてしまいました。

その時、北の方から1匹の狼が現れ、おじいさんは驚きましたが、そのままどこかへ去って行きました。
すると今度は東からさっきとは別の狼が現れ、また通り過ぎて行きました。
最後に西から、今までよりもずっと大きな青白い狼がやってきて、おじいさんの前でピタリと足を止めました。

おじいさんは狼に食われる覚悟を決めましたが、狼はじっとおじいさんを見つめているだけでした。
やがて狼の眉毛が光り、その中の1本だけが抜け落ちました。
狼は「その眉毛で村人を透かして見ると、きっと良いことがあります。ただし、誰にも眉毛を渡してはいけません」と言い、去っていきました。

翌朝、おじいさんは狼の眉毛をもって村へ帰りました。
そうしておじいさんは狼に言われたとおり、畑仕事をしている村人を眉毛で透かして見ました。
すると驚いたことに、驚いたことに狼の眉毛で透かして見ると、村人たちが色々な動物の姿に見えました。

そこに庄屋がやってきました。
庄屋はおじいさんに眉毛を借りて村人たちやおじいさんを透かして見ました。
自分の姿もおじいさんに透かして見てもらうと、庄屋は大きな鳥に、村人たちはまた違う動物に見えたのですが、おじいさんだけが人間の姿のままに見えました。

庄屋は、おじいさんに山の神さまが憑いたに違いないと思い、おじいさんを自分の家に連れて帰りました。
それからおじいさんは、村の守り神として庄屋の家で大切にされ、もうひもじい思いをすることはありませんでした。

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