【昔話】話十両【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある村に、若夫婦とおばあさんが暮らしていました。
何不自由なく生活していたのですが、急に亭主が江戸へ出稼ぎに行きたくなって、出発しました。
江戸に着いた亭主は一生懸命に働き、数年で三十両の貯金ができました。
ある時、亭主はふと村に帰りたくなりました。
村に住む妻とおばあさんにお土産を買って帰ろうと思い、あたりをうろうろしていると「話十両」とかかれた看板が目に入りました。
亭主はさっそく十両払って、話を買うことにしました。
店主は「大木の下に寄ってはいけない」と話したのですが、あまりの短さにもう一つ話を買うことにしました。
今度は「猫なで声には油断するな」と話しました。
これまた短い話だったのでもう一つ話を買ってみたのですが、「短気は損気」という今までで一番最も短い内容でした。
これで計三十両、貯金していたお金を全て使い果たし、亭主はがっくりしながら村への帰路につきました。
帰る途中、急に大雨が降ってきたので、雨宿りしようと大木の下に駆け込んだのですが、虫に驚いて大木から離れました。
すると大木に雷が落ち、亭主は九死に一生を得ました。
そうこうしているうちに日も暮れてきたので、民家に泊めてもらうことにしました。
猫なで声の女が出てきて、亭主を快く座敷に案内してくれました。
布団に入った亭主が、十両で買った話を思い出してふと天井を見上げると、巨大な岩が吊るされていました。
大慌てで逃げ出し、ようやく村についたのですが、家の中に見たことのない男の姿がありました。
怒った亭主は鎌を手にして身構えましたが、話を思い出して、なんとか心を落ち着かせて家の中へ入りました。
すると、ずっと待っていた妻が大喜びで迎え入れてくれました。
見たことのない男だと思っていた人は、男装していたおばあさんでした。
亭主は「あの話が三十両とは安いもんだ」と思いました。