【昔話】ふき姫物語【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし山奥の家に、ふきという美しい娘とその父が住んでいました。
ふきは山の中で熊に襲われて倒れてしまった父のために、森の奥にあるというどんな病でも治すという伝説の水を汲もうと考えました。
しかしこの泉には精がおり、その精の虜になってしまったら2度と帰れなくなるという噂がありました。
恋をしたことがないふきは、それがどういうことか分からなかったので、水がめを持って泉の水を汲みに行きました。
泉につくと、水が鏡のように光っていました。
しばらく見とれていたふきの目の前に、泉の精が現れ「ずっとここにいてほしい」と言いました。
ふきは悩みましたが、泉の精に手を差し伸べられると取りつかれたように「ずっとここにいます」と誓ってしまいました。
それから何年か経ち、ふきの父がこの泉のそばを通りかかった時、ふきが持ってきていた水がめを見つけました。
そばには黄色の可愛らしい花が咲いていました。
その花は「ふきのとう」と言われるようになり、それからもふきの姿を見た者はいませんでした。