【昔話】水とめの桃【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある山奥に働き者の若者が住んでいました。
この若者の畑には、水止めの桃と呼ばれている桃の大木が立っていました。
この桃の木の実を食べると「大水が出る」という言い伝えがありました。
この若者に恋心を抱いている若い娘がいました。
ある日、娘は水浴びをしている若者の着物を取り上げて、着物の返す代わりに結婚してほしいと迫りました。
若者はしぶしぶ結婚を承諾しすぐに2人で暮らし始めたのですが、やがて若者も娘のことをだんだん好きになっていきました。
2人が仲良く暮らしていたある日、突然嵐がやってきました。
若者は大事にしている桃の木のことが心配になり、娘を家に残して1人で嵐の中出かけていきました。
嵐が去った翌朝、娘は桃の木の下で倒れている若者を見つけ、家に連れて帰って介抱しました。
その日、娘は1人で畑に行き、畑仕事に精を出していました。
しばらくして、のどが渇いてきた娘は、禁止されていた桃の実を食べてしまいました。
このことを知った若者は、娘に詰め寄りましたが、娘は「大水が出るなんて迷信ですよ。」と言って、と全く気にしていませんでした。
さらに娘はもう1つ桃を採って、若者にも食べるようにすすめました。
娘の言う通りかもしれないと思った若者は、手渡された桃を食べました。
すると山奥から大水が噴出し、大水はどんどんあふれてきて、あっという間に若者も娘も家もすべて押し流してしまいました。
水が引いた後の荒れ果てた土地には、桃の木だけが残っていました。