【昔話】ねずみ経【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある小さな田舎村におばあさんが住んでいました。
つい最近おじいさんを亡くしたばかりのおばあさんは、寂しくて寂しくて1日中、仏さまばかり拝んでいました。
そんなある日、おばあさんの家に旅のお坊さんがやってきて、一晩泊めてほしいと頼んできました。
お坊さんなら、亡くなったおじいさんにありがたいお経をあげてくれると思い、しっかりとおもてなしをしました。
お坊さんにごちそうを食べさせ終わると、お経をあげてほしいとお願いしました。
それを聞いたお坊さんは困ってしまいました。
実はこのお坊さんはとてもいい加減で、お経なんか全く知らなかったのでした。
しかし、そんなことも言えないので仕方なく仏壇の前に座りました。
するとねずみが1匹顔を出しているのが見えました。
お経が始まるのを待っているおばあさんのために、お坊さんは覚悟を決めて、声を出し始めました。
するとおおばあさんは、ありがたそうに手を合わせ始めました。
それを見たお坊さんは、近くにいるねずみの様子をお経のように唱え続けました。
こうして坊さんは一晩中このお経をあげ続け、翌朝、逃げるように帰っていきました。
それからというもの、おばあさんは毎日お坊さんのまねをしてお経をあげ続けました。
ある晩、おばあさんの家に泥棒が忍び込みました。
泥棒が家の中をうろうろしていると、おばあさんのお経が聞こえてきました。
驚いた泥棒は、障子の穴からのぞいてみると、まるで自分の姿を見ているかのようなお経でした。
何から何までお見通し、これはきっと山姥かなにかの家だと泥棒は震えあがってその場から逃げていきました。
それからもおばあさんは、このデタラメなお経を唱え続けました。