【昔話】杉の木の男【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、とても美しい娘がいました。
娘が年頃になると、若者がたずねてきました。
若者は容姿端麗で、娘は若者をひと目で好きになりました。若者は毎晩娘をたずねてくるようになり、そして明け方帰っていくのです。
娘は若者のことをよく知らず、若者が一体どこに住んでいるのか、なぜ夜にしか会いに来られないのかも分かりませんでした。
ある夜、娘は長い糸を通した針を用意して、それを明け方帰る若者の着物にそっと刺しました。
夜が明け、糸をたどっていくと神社の境内へ続いおり、一本の大杉のところで全ての糸は巻き取られていました。
糸の先の針が大杉の皮に刺さっているのを見た娘は、あの若者は大杉の守り神だったのだと悟りました。
その日からぱたりと若者が娘をたずねてくることはなくなっていたのですが、ある晩、娘の夢に若者が現れました。
若者は娘に「僕は神社の大杉の守り神です。大雨で流された橋を架けなおすために僕は切り倒されることになっているので、見送ってほしい」と言いました。
夢で若者が言った通り、神社の大杉は切り倒されることになりましたが、縄をかけいざ運び出そうとしても大杉はびくともしませんでした。
そこへ娘がやってきて、切り倒された大杉をやさしくなでると、さっきまで全く動かなかった大杉が軽々と運べるようになったのです。
この大杉を使って作られた橋は、どんなに大雨が降っても決して流されることはありませんでした。