【昔話】月見草の嫁【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、若い馬子が住んでいました。
馬子は、毎朝歌いながら馬に食べさせる草を取りに山道を歩いていました。
ある夜、若い娘が馬子の家を訪ねて「馬小屋でいいから泊めてくれませんか」と言うので、馬子は快く馬小屋を貸してあげました。
朝になって娘を見ると、それはそれはとても美しい娘でした。
娘は、もう一晩泊まり、やがて朝から晩まで馬子の家の事や食事の世話などをしてくれるようになりました。
そのまま馬子と娘は結婚し、2人は仲良く暮らし始めました。
やがて冬が近づく頃になると、娘は体が弱って寝込むことが多くなりました。
馬子は、今日も馬の草刈りに山へ入っていました。
家に帰って刈ってきた草を見ると、この季節には珍しい月見草が1本混じっていました。
この月見草の花の香りは、娘と同じくとてもいい香りがしました。
馬子は、寝ている娘に月見草を見せてあげようと、家の中に入っていきましたが、そこには娘の姿はありませんでした。
実は娘は、歌う馬子に恋をした月見草の精だったのでした。
馬子が残った月見草を刈り取った事で、娘の命も尽きてしまったのです。
驚いている馬子の目の前に、一瞬だけ姿を現した娘は、嫁にしてくれたお礼を言い、そのまま消えてしまいました。