【昔話】蛇と白蛇【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるお寺の前で、菓子や線香を売って暮らしているおばあさんが住んでいました。
信心深いおばあさんは、毎朝、お寺の山門の掃き掃除をしていました。
ある霧深い朝のこと、1人の美しい娘がお寺に入っていくのを見ました。
その日から、霧深い朝になるとこの娘が現れるようになったので、おばあさんは気になって娘の後をついて行ってみることにしました。
霧に包まれた観音堂の中を覗くと、先ほどの娘と着物を着た別の娘がお祈りしていました。
おばあさんに気づいた娘は、もう1人の娘を守るかのように、みるみる大きな白い蛇になりました。
おばあさんは驚いて和尚さんにこの話を聞かせました。
すると和尚さんは、昔ここのお城にそれは美しい姫がいた話を聞かせてくれました。
その姫には姉妹のように育った美しい娘が傍に仕えていたのですが、ある時、家老が謀反をおこし、それを知った姫を殺そうとしました。
しかし、それを庇った娘が斬り殺されてしまったので、それ以来、姫の傍に白い蛇が現れ、姫を守っているそうです。
その後間もなく姫も殺されてしまったという話でした。
おばあさんは、自分たちの供養のために観音堂に通う姫と娘が哀れになって、お寺にあった姫のお墓に線香を供え、お参りしてあげました。
ところが、どこにも娘のお墓がなく、それが心残りでその晩おばあさんは眠ることができませんでした。
翌日、寝過ごして朝の山門の掃除ができなかったおばあさんは、夕方に掃除を始めました。
すると、あの娘がお寺から帰ってくるところを見ました。
おばあさんが後をつけると、娘は寂れてボロボロになったお寺に消えていきました。
そこには草に埋もれ、苔むした娘のお墓がありました。
それを見たおばあさんは、娘のお墓をきれいに掃除してやり、お参りしてあげました。
それから2人の霊は現れることはありませんでしたが、おばあさんは2人の娘を忘れることはなく、毎日欠かさずお参りを続けました。