【昔話】餅の的【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、田野という村では、毎年お米がたくさん収穫でき、村人たちは豊作を喜んでいました。
日照りが続けば田の水がなくなり稲が育たず、雨が続けば上手く実りません。
田野はお米作りにとても良い土地だったのです。
ところが、田野の村人たちは毎年たくさんのお米が収穫できるので、だんだんとお米のありがたみを忘れるようになりました。
ある日のこと、村の男が「収穫したお米でうまい酒を作って吞もう」と言いました。
また、別の男は「お米で餅をついて、お腹いっぱい食べよう」と言い出しました。
こうしてそれぞれが自宅で食べたり吞んだりしていましたが、次第に近所の人たちがたくさん集まって、ごちそうを食べたり、お酒を吞んだりして楽しむようになりました。
お酒を吞んで気分が良くなった村人たちは、毎日遊びながら暮らしていました。
若い男たちが集まったある日、鏡餅を的にして矢を当てるという遊びを思いつきました。
誰が一番上手に矢を撃てるか、腕比べをするというのです。
鏡餅にひもをつけ、庭先にある木の枝にくくりつけると、男が弓に矢をつけて餅の的をめがけて矢を放ちました。
すると、矢が餅に当たった途端、餅は真っ白い鳥になり、遠くへ飛んでいってしまいました。
その日から田野ではお米が全く収穫できず、貧しい村になってしまいました。