【昔話】穴ぼけ地蔵【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、漁村がありました。
漁村では毎晩干してある魚がたぬきに盗まれてしまうので、怒った村人たちが巣穴を煙でいぶして子たぬきを焼き殺しました。
何とか逃げた母たぬきは、復讐として村に火を放って、漁船のほとんどを焼きました。
船が焼かれてこれまでのような漁ができなくなり、苦しい生活を送るようになった村人たちは、残されていた小舟に乗って沖へ漁に出ました。
貧しい生活をしていた村人たちは、子連れのくじらを見つると、やむなく突きやすい子くじらに銛を打ち込みました。
子くじらを殺した次の日から、海がしけて漁に出られなくなりました。
きっとこれは母くじらの怨みだと思った村人たちは、子たぬきもあわせて供養するために死んだ子たぬきと子くじらの地蔵を立てることにしました。
すると不思議なことに、開眼供養の経読みの最中、各地蔵の胸に穴が空きました。
それを見た村人たちは、我が子を失った親の気持ちは、胸に穴が空くほどつらいものだったのだろうと思いました。