【昔話】地獄の鬼【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、巡礼中の僧がいました。
僧は、山奥の古びたお堂の軒下で野宿することにしました。
すると、どこからか地獄の鬼たちが現れて、「升や秤の目を盗んだことを思い知れ!」と言いながら、米屋の娘を鉄棒で殴り始めました。
この様子を震えながら見ていた僧は、翌朝町へと向かい、最近娘が死んだという米屋を訪ねました。
昨晩見たことを米屋の父に話すと、「死んだ娘がなぜ鬼から責められないといけないのですか?」と全く信じてもらえませんでした。
僧と父は2人でもう1度、お堂へ行ってみることにしました。
夜が更けると、また鬼たちが現れて、今度は娘を釜茹でにしていました。
死んでいるのに、鬼から攻め続けられる娘は、悲鳴をあげながら必死に耐えていました。
これを見た父は、升や秤を小さく作って計量をごまかしていたことを白状し、反省しました。
翌日、町に戻った父は、蔵の中から貯め込んだ米や味噌などを町の人たちに無料で配りました。
そしてお堂の前で娘のためにお祈りしました。
この懺悔により、娘は無事に天国へのぼることができました。