【昔話】幽霊の酒盛り【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、骨董屋がありました。
この日は主人夫婦が留守で、甥の忠兵衛が留守番をしていました。
ふと客人が入ってきて、店内の掛け軸を手に取りはじめました。
そして女の幽霊が描かれた掛け軸の前で立ち止まり、「これはいくらですか?」と忠兵衛にたずねました。
この掛け軸はタダ同然で譲り受けたガラクタのようなものだったので、忠兵衛は「二十文」という意味で二本の指を見せました。
すると客人は「なんと!たったの二十両ですか!それは安い!」と大喜びで、明日代金を支払うからと言い、手付金を払って帰っていきました。
その夜忠兵衛は思わぬ大金を手にしてすっかり嬉しくなり、幽霊の掛け軸の前で酒盛りを始めました。
酔っ払って良い気分になった忠兵衛は、掛け軸の中の幽霊に「お前もちょっと出てきて一杯やらないか?」と声をかけると、なんと掛け軸から幽霊が出てきました。
初めは怖がっていた忠兵衛も、美人な幽霊のお酌にすっかり酔いつぶれてしまいました。
翌朝、目を覚ました忠兵衛の目の前には幽霊が寝姿になっている掛け軸がありました。
早く幽霊に起きてもらって元の立ち姿に戻ってもらわないと、せっかくの二十両が無しになってしまう…と忠兵衛は慌てました。