【昔話】見かえりの松【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、海辺の村を行商して歩く赤ん坊を連れた女がいました。
それから10年後、赤ん坊だった子はみなしごの娘となり、子守奉公をしていました。
季節が春になった頃、娘は暖かい陽気に誘われて、花が満開に咲く山へ入って行きました。
咲き乱れるつつじ美しさに、娘は思わず背中の赤ん坊をそっと草むらに降ろしました。
すーっと体が軽くなった娘は、夢中で花のまわりを飛び回りました。
ふと気が付くと、娘は今まで何をしていたのか思い出せなくなっていました。
ぼんやりとしている娘の目の前に、大きな一本松が立っており、その松を見ているうちに、娘は子守をしていたことを思い出しました。
慌てて赤ん坊のところへ戻ると、野犬が赤ん坊に襲いかかろうとしているところでした。
娘は、飛びかかる野犬の鼻に飛びついて、なんとか追い払うことができました。
そして、もう2度と背中から赤ん坊を降ろさないと心に誓い、思い出させてくれた一本松に感謝しました。
その後、村人たちは、つつじの道を「子忘れの道」、一本松を「見返りの松」と呼ぶようになりました。