【昔話】もちの白鳥【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、とんでもない長者が住んでいました。
数え切れないほどの田畑と米蔵、酒蔵、宝の蔵を7ずつ持ち、何十頭もの牛や馬やたくさんの使用人を使って、大きな屋敷に住んでいました。
長者は馬に乗って使用人たちの仕事ぶりを見て回り、少しでも仕事が遅いとそれが病人や老人でも容赦なく罰していたため、使用人たちは1日たりとも休むことなどできませんでした。
しかしこんな長者でも娘だけには目がなく、とても可愛がっていました。
やがて年頃の娘となり、隣村の板東長者のもとへ嫁ぐことになりました。
そこで長者は、誰も見たことがない程立派な婚礼にしてやりたいと思いました。
その日から全ての田んぼの餅米の苗が植えられ、使用人たちは夜明け前から夜が更けるまで、以前よりも働かされました。
秋になると、長者はとれた餅米で毎日毎日餅をつかせ、そうして出来た餅を、板東長者の家まで娘の歩く道にぎっしりと敷き並べさせました。
そして婚礼の日が来て、娘はゆっくりと餅の上を歩き始めました。
その様子を、使用人たちは遠くから眺めているしかありませんでした。
餅の道を中ほどまで歩いたところで、娘の背後から白い鳥が1羽飛び立ちました。
すると、間もなく餅は次々に白い鳥に姿を変え、一斉に大空へ舞い上がりました。
こうして娘の婚礼は、めちゃくちゃになって大失敗に終わりました。
それからは長者の田畑には何も実らなくなり、使用人も次第にいなくなり、長者の家は荒れ果てました。