【昔話】雪むかし【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、北国では雪がまだ本当に白い色ではありませんでした。
ある冬、庄屋の家に遠い村から若い娘が奉公にやってきました。
娘はとても働き者で、仕事は辛かったのですがご飯は食べられるし、故郷の村にいる時より幸せだと思っていました。
そんなある日、宴会の準備で忙しい奉公人たちが遅い昼食を食べていると、旅のお坊さんが食べ物を恵んでくれませんかと言ってやってきました。
庄屋の奥さんは、お坊さんを追い返しましたが、娘は自分の大事なご飯をおにぎりにして、こっそりお坊さんに渡しました。
するとお坊さんは、娘に紅い布と鈴を渡しました。
やがて宴会が終わり、後片づけを始めると、娘はお坊さんにもらった布を汚れた茶椀の中に落としてしまいました。
すると、布が落ちた茶椀だけが驚くほど綺麗になっていました。
娘が布を顔にあてると、娘の顔がとても美しくなりました。
その話を聞いた庄屋の奥さんは、娘から布を取りあげると、大急ぎで自分の顔にあてました。
すると、奥さんはしわとしみだらけの顔になってしまいました。
奥さんは怒って布と鈴を放り投げ、雪が降りしきる中、娘を家から追い出してしまいました。
娘は故郷の村へ帰ろうとしましたが、寒さで疲れ果ててしまい、とうとう雪に埋もれるように倒れてしまいました。
すると不思議なことに娘の手元の布から、白くなった雪が広がってゆきました。
そうして真っ白な雪が娘の上に降り積もっていきました。
北国の雪が真っ白なのは、こんなことがあってからだということです。