【グリム童話】大きな家と小さな家【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、ある神さまが旅をしていました。
その旅の途中で、大きくて立派な家と、小さくて古い家を見つけました。
神さまは大きな家のドアをたたき、今夜一晩泊めてもらえるように頼みました。
ボロボロの服を着た旅人だとは思わなかった大きな家の主人は、「泊められる部屋がないので、他の家へ行ってください」と言いました。
次に神さまは、小さくて古い家をたずね、小さな家の主人に同じように頼みました。
すると小さな家の主人は、快く旅人である神さまを迎え入れ、豪華ではありませんがおいしい食事を出してくれました。
そしてその夜は、長旅で疲れているだろうと神さまをベッドに寝かせ、小さな家の主人は床で眠りました。
翌朝、目を覚ました神さまは小さな家の主人に「もし、3つ願いが叶うなら、何を願いますか?」とたずねると、小さな家の主人はこう答えました。
「1つめは、わたしと妻が一緒に天国へ行けること。2つめは、それまで元気に働けること、それだけで十分です」
それを聞いた神さまは、3つめの願いとして主人の住む家を大きくしてあげることにしました。
こうして神さまは、小さな家の主人の3つの願いを叶えてあげました。
それを聞いた大きな家の主人は、自分も願いを叶えてもらおうと、馬に乗り大急ぎで神さまを追いかけてきました。
そして、自分も神さまを家に泊めるつもりだったと言い、自分の願いも叶えてくれるように言いました。
なんとか願いを叶えてもらう約束をした大きな家の主人は、あれこれと願いを考えました。
ところが、乗っていた馬が騒ぎ出したのでイライラした大きな家の主人は、「騒ぐなバカ馬!!首でも取れてしまえ!!」と叫びました。
すると馬の首がぽとんと落ちたことで、1つめの願いが叶いました。
馬が死んでしまったので、馬の鞍を背負って歩いていた大きな家の主人はだんだん腹が立ってきました。
苛立った大きな家の主人は、「家でのんびりしている妻が、この重たい馬の鞍にひっつけばいいのに」と文句を言いました。
すると男の背中から馬の鞍が離れ、2つめの願いが叶いました。
大きな家の主人が家に帰ると、妻は馬の鞍に乗ったままおりることができずにいました。
大金持ちになりたいという願いを叶えてもらうつもりでしたが、しぶしぶ馬の鞍から妻を降ろして欲しい、と願いました。
これで大きな家の主人の3つの願いは全て叶えられました。