【映画】アルゼンチンババア【あらすじ・ネタバレ】
小さな田舎町に住む涌井みつこは、入院中の母良子の病室を訪ねますが、良子の容態が急変し亡くなってしまいました。
さらに、父悟も突然失踪してしまいました。
叔母の滝本早苗と、その息子である信一たちに支えられながらみつこは悟が戻ってくるのを待ち続けていました。
それから半年後、うなぎ屋の店主が町外れに建つ古いビルの前を通りかかりました。
そのビルは「アルゼンチンの遺跡」と呼ばれており、そこにはアルゼンチンババアと呼ばれるアルゼンチンからやってきた少し変わった女性が住んでいました。
その庭で悟の軽トラを見つけた店主はみつこに連絡しました。
大慌てでビルを訪ねたみつこを、アルゼンチンババアことユリは快く迎え入れてくれました。
しかし、反省もしておらず謝罪の言葉もない悟を見てみつこは言葉を失い、そのままビルを後にしました。
その後、早苗と信一もビルを訪れましたが、悟を連れ戻すことはできませんでした。
ある夜、みつこは信一とともに悟を連れ戻すためにビルへ向かうと、愛し合っているユリと悟の姿を目撃してしまい逃げるように帰りました。
なんとか悟を連れ戻すために、近所の人たちは墓石彫り職人だった悟に仕事を与えてみることを思いつきました。
御影石をビルへ運び入れ、これで良子の墓を作るように説得しました。
その話を聞いたみつこも悟の元へ向かいましたが、悟は墓を彫るどころか石を土に埋めようとしていました。
失望したみつこは、御影石を台車へ乗せ家へ向かおうとしたところへユリがやってきました。
ユリは、悟は現実を受け入れられず逃げているだけなので、もう少し待って欲しいとみつこに言いました。
みつこは納得できず、泣きながら御影石を自宅へ持ち帰りました。
悟るの行動を聞いた早苗は激怒しビリへ乗り込みました。
早苗が激しい口調で責め続けていると、そこへみつこと信一が駆けつけました。
すると突然ユリが苦しめ始めました。
病院に運ばれたユリは検査の結果、悟の子どもを妊娠していることが判明しました。
高齢出産を決意したユリは、悟に、家に戻りきちんとみつこの父親になるように説得しました。
その会話を聞いていたみつこは、ひとりで自宅へ戻りました。
そして遅れて悟たちも帰宅しましたが、みつこの姿はありませんでした。
みつこがいなくなり慌てる早苗たちに向かって悟は、慌てなくて良いと言いました。
そしてあの御影石を使い、一心不乱に良子の墓石を彫り始めました。
3週間後、完成した墓石を軽トラに積み、海の近くにある小さな民宿へ向かいました。
ここは昔、親子三人でイルカを見た思い出の場所だったのです。
みつこはこの思い出の民宿にいました。
宿の外から悟は、良子の死を受け入れられずにいた自分をユリが救ってくれたと語り出しました。
それを聞いたみつこも、母が亡くなった日、弱っていく母の姿に動揺し「早く死んで欲しい」と思ってしまったことを話しました。
そして本当に母良子は亡くなってしまい、罪悪感に襲われ自分を責め続けていたのでした。
父娘は現実を受け入れ、お互いを許し合いました。
悟は良子の墓石を見せました。
イルカが好きだった良子のために作った、イルカの形をした墓石でした。
三人でもう一度イルカを見ようとボートに乗り込みましたが、イルカの姿に興奮した悟とみつこはバランスを崩しボートは転覆してしまいました。
二人は沈んでいく墓石から手を離し、良子に最後の別れを告げました。
それからしばらく経ったある日、ユリは元気な男の子を出産しましたが、体の不調でユリは死亡してしまいました。
生まれてきた赤ちゃんは、近隣住民に愛され元気に育てられ、みつこは時折ユリのことを思い出すのでした。