【小説】西の魔女が死んだ【あらすじ・ネタバレ】
日本人の父親と英国人の母親を持つ中学3年の加納まいは、授業中に担任からすぐに帰る準備をするように言われました。
非日常なことに興奮していると母親が迎えに来て「西の魔女」である祖母が倒れたことを聞かされました。
まいは2年前、入学して間もない頃、学校でいじめに遭い登校拒否になったときに祖母の家で過ごして日々のことを思い出しました。
中学1年のまいは、いじめが原因で学校へ行きたくないと母親に告げました。
母親は単身赴任中の父親に相談し、まいをしばらく祖母の家に預けることにしました。
こうして、優しくて温かい祖母とまいの生活が始まりました。
まいは祖母の家に預けられてすぐにホームシックに襲われましたが、野いちごを積んでジャムを作ったり、サンドウィッチを作るために畑にレタスを取りに行くことが楽しくてすぐに祖母との生活にも慣れました。
予知能力などの超能力を持つ祖母のようになるために、まいは訓練を始め、これを魔女になるための訓練と呼んでいました。
最初の訓練は、「早寝早起き・規則正しい生活をすること」でした。
祖母から、1番大切なことは意志の力と、自分で決める力、決めたことをやり遂げる力だと教えられました。
まいは魔女訓練にも馴れ、心地の良い整った生活を送っていました。
自分で決めたことをやり遂げ、自由なくつろぎの時間を組み合わせることもできるようになりました。
まいが「おばあちゃん、大好き」と告げると、祖母はいつも「アイ・ノウ(知っているわ)」と答えてくれました。
ある日、まいは自分の中にある「人間の死」ということについて祖母に相談しました。
祖母はまいの不安を感じ取り、死ぬということは魂から体が離れることだと説明しました。
そして、いつかその時が来たらまいにこっそり報告することを約束をしました。
ある時、ひょんなことからまいと祖母の間に小さなわだかまりができてしまいました。
その日からまいは祖母に「おばあちゃん、大好き」と言わなくなっていました。
まいの父親が祖母の家に来て、まいを引き取り、両親と3人で単身赴任先へ引越すことを考えていることを告げました。
まいは祖母と離れたくありませんでしたが、祖母からの教えをしっかり守ることを決め祖母のもとを離れました。
祖母の家を離れて2年が経ち、まいにも新しい友達ができ祖母の家には行っていませんでした。
まいは、祖母が「おばあちゃん、大好き」と言ってほしいのに言わなかったことを後悔していました。
到着すると、祖母の遺体が安置されていました。
泣き崩れる母親を置いて、まいは台所へ向かいました。
すると、先ほどまではなかったはずなのに、窓ガラスに何か文字が書かれていました。
「ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ ヘ。 オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ セイコウ!」
祖母はまいとの約束を覚えていてくれたのです。
その文字を見たまいが「おばあちゃん、大好き」とつぶやくと、「アイ・ノウ(知っているわ)」と聞こえた気がしました。