【昔話】長者の宝くらべ【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、坂出という町に城山の長者と金山の長者という2人の長者が住んでいました。
城山の長者には美しい娘がおり、その娘を見るために毎日大勢の人が城山の長者の家へ向かうための坂道を登っていました。
城山の長者の娘の噂は瞬く間に広がり、その噂が金山の長者の耳にも入っていました。
金山の長者は、城山の長者ばかりが注目を浴びることがおもしろくありませんでした。
そこで金山の長者は、自宅にある先祖代々伝わる宝物を持って城山の長者と勝負をしようと考えました。
金山の長者は「宝くらべをしよう」と書いた手紙を城山の長者の元へと送り、きらきらと立派に飾り付けた車を用意しました。
その車に家中の金・銀・財宝を積み込んで城山の長者の家へと向かいました。
宝くらべの噂を聞いた町の人たちも大勢やってきて、金山の長者が持ってきた宝物を見てどよめきの声を上げていました。
続いて城山の長者が車がやってきて、その中から姿を見せたのは美しい娘でした。
城山の長者が宝物は娘だと言うと、町の人々から歓声と拍手が起こり、金山の長者の宝物には誰も見向きしなくなりました。
自分が仕掛けた宝くらべで負けてしまった金山の長者は悔しがり、持っていた宝物を全て海へ捨ててしまったのです。
それからというもの、金山の海で獲れる鯛はウロコが金色に輝くようになり、見た目にも美しくおいしい鯛ということで大勢の人にもてはやされるようになりました。