【昔話】千鳥の歌【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし沖縄に漁師のおじいさんが住んでいました。
おじいさんは息子がいましたが、漁に出たまま戻ってきませんでした。
ある日、おじいさんはケガをした1羽の千鳥を見つけました。
傷の手当てをしてやると、千鳥はすっかり元気になって、いつの間にか千鳥とおじいさんは一緒に暮らすようになりました。
千鳥と一緒に暮らすことで、息子がいない寂しさが少しまぎれるような気がしていました。
そんなある日、おじいさんが漁から帰ってくると、掃除や洗濯、食事の用意がされていました。
こんな不思議なことが何日も続いたので、おじいさんは漁に出たふりをしてこっそり家に戻ってみました。
すると、18歳くらいの娘が家から出てきました。
驚いたおじいさんが思わず声をかけてみると、千鳥が娘に化けていたのでした。
娘は、「自分が千鳥であることは誰にも言わない」ということを条件に、今まで通りおじいさんと一緒に暮らすことになりました。
やがて娘の噂は村中に広がりました。
村人たちは娘が誰なのかを聞きだそうとしましたが、おじいさんは決して何も話しませんでした。
ある夜、隣村に住むおじいさんの古くからの友人が、酒を持って遊びにきました。
気を良くしたおじいさんは、娘が千鳥であることを友人に話してしまいました。
正体がばれた娘は、家から逃げ出してしまいました。
おじいさんは慌てて後を追いましたが、娘の姿はなく、空には1羽の千鳥が寂しそうに鳴いていました。