【昔話】鉢の鯉【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、人使いの荒い五郎兵衛という長者がいました。
使用人たちを朝から晩まで働かせ、病気や年で働けなくなった使用人につらく接していました。
五郎兵衛の家にはいられないと、使用人たちは次々に逃げ出し、とうとう誰もいなくなってしまいました。
自分では何もできない五郎兵衛は財産を全て使い果たし、家の中はすっからかんになってしまいました。
家財道具も全て売ってしまった五郎兵衛は、最後に残っていた先祖代々から伝わっていた古びた鉢を、源右衛門に米5俵で買ってもらいました。
どこにでもあるような普通の鉢でしたが、内側に美しい鯉の絵が描かれていました。
源右衛門が、鉢に水を入れてみると、不思議なことに描かれていた鯉が本物の鯉になって泳ぎはじめました。
これはとんでもないお宝だと驚いた源右衛門は、すぐに五郎兵衛に返すことにしました。
しかし、五郎兵衛の家で鉢に水を入れても、鯉が泳ぎだすことはありませんでした。
親切で心が広く優しい源右衛門の家でだけ、鯉は泳ぎだすのでした。
このことから、五郎兵衛は心を入れ替えて反省し、人を思いやる気持ちを大切にすると誓いました。
そして、いつかこの鉢を源右衛門から買い戻すことができるように、毎日真面目に働きました。