【昔話】またじろ物語【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし和歌山県に珊瑚寺というお寺がありました。
1ヶ月ほどまえから、珊瑚寺にまたじろというたぬきが住みついていました。
またじろはメスで妊娠していたので、和尚さんや小僧、村人たちもみな、またじろの子どもが生まれるのを楽しみにしていました。
この年の冬はとても寒かったので、またじろはワラを敷いて暖をとって過ごしていました。
しかし、ある時またじろがいなくなってしまい、和尚さんたちは毎日心配で仕方ありませんでした。
ある日、呉服屋が「産着の代金を集金にきました」と言ってやってきました。
和尚さんは、またじろがここのツケで呉服屋から子どもの産着を買ったのかもしれない、と思いました。
やがて、姿を見せたまたじろは、元気な子たぬきを3匹生みました。
和尚さんは、可愛い子たぬきが生まれてきたことを喜んで、またじろに団子を差し入れしました。
そのときに、和尚さんは「今度、人を騙したらお寺から出て行ってもらいますよ」と冗談交じりに言いました。
翌朝、またじろと子たぬきはお寺からいなくなりました。
和尚さんは昨日またじろに言ったことを後悔し、和尚さんの心にぽっかりと穴が開いてしまいました。
しばらくたった頃、村人から「またじろと子たぬきたちは山の中で元気にしていた」と、聞きました。
和尚さんたちは大喜びしました。
それからしばらくたった秋のお彼岸に寺の山門の前に、たくさんの山の幸が置いてありました。
きっとまたじろが持ってきてくれたのだと思うと、和尚さんは嬉しくなりました。