【昔話】日滝の笛【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、日滝という小さな村がありました。
働き者だが貧しい村の人々は、春と秋のお祭りをとても楽しみにしていました。
このお祭りには、笛の名人おたきばあさんの笛の音が欠かせませんでした。
ところがこの村は2年も日照りが続き、米や野菜がとれなかったので、城の殿さまから贅沢禁止令が出されてしまいました。
もちろんお祭りも禁止されてしまった村人たちは、すっかり落ち込んでしまいました。
ある雨の日、おたきばあさんの家に、狩りの途中の侍が雨宿りに立ち寄りました。
おたきばあさんがお茶を準備している間に、侍はおたきばあさんの大切な米俵に腰かけていました。
それを見たおたきばあさんは、怒って侍を雨の中に追い出しました。
それから2,3日経ったある日、おたきばあさんは城から呼び出されました。
実の雨宿りしていた侍は城の殿さまで、自分の無礼を詫びて褒美をとらせるということでした。
それを聞いたおたきばあさんは「楽しみだったお祭りをさせてほしいです」とお願いしました。
贅沢禁止令はその日のうちに取り下げられ、日滝の森にお祭りののぼりが立ちました。
おたきばあさんのおかげで村人たちは楽しげに踊り、おたきばあさんの笛の音は「来年こそは豊作を」と祈りを込めて、響き渡りました。