【昔話】みやこ鏡【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある山奥の村に、太郎作と女房が仲良く暮らしていました。
その当時は鏡が貴重品でした。
太郎作はとても親孝行で、ある時、お殿さまからご褒美に「死んだ父親に会える」という鏡をいただきました。
鏡に映った太郎作の顔は、死んだ父親にそっくりで、まるで父親に再会できたようにも思えました。
太郎作は、鏡を女房に内緒で家の納屋に隠して、こっそり父親との再会を楽しんでいました。
ある日、太郎作の行動を不信に思った女房が、納屋に隠してある鏡を見つけました。
鏡をのぞくと、そこには女がいました。
鏡の中の女は不細工だったのですが、それでも自分に内緒でこっそり女をこんなところに隠していたのかと思い、激しく嫉妬しました。
女房と太郎作は、鏡のことで大ゲンカになりました。
太郎作にとっては、死んだ父親との再会するための物だったので、女房がなぜにそんなに怒るのかが理解できませんでした。
たまたま通りかかった尼さんが激しくなる夫婦喧嘩の仲裁に入りました。
そこで2人は、納屋には女がいるのか死んだ父親がいるのかを尼さんに確かめてもらうことにしました。
尼さんが納屋の鏡をのぞくと、そこには自分の姿が映りました。
それを見た尼さんは「中に女がいますが、すでに頭を丸めて尼になっているので、浮気は心配ありません」と言いました。
誰も鏡というものを知らない、鏡のない村のお話でした。