【昔話】金魚のうた【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、ある海辺の村に大きな池があり、そこにたくさんの金魚が住んでいました。
村では金魚は池の主の使いだから、捕まえたら恐ろしい祟りがあると言い伝えられていました。
村には千代という娘がいました。
千代は幼い頃に両親を亡くしていましたが、大人になって村でも評判の海女になりました。
ただ、千代はあまり可愛くなかったので、男たちからは軽く見られていました。
ある夜、村の男が偶然千代を見かけたので後をつけて行くと、千代は金魚の住む池の中に入っていきました。
すぐに、千代は夜中に金魚を獲っているという噂が流れました。
心配した海女の仲間が千代を問いただすと、千代は「金魚に会っているだけで、獲ってなんかいません」と言いました。
金魚に会うために池に潜ると、金魚たちがが歌を聞かせてくれるというのでした。
海女たちは、もう池には行ってはいけないときつく言いましたが、千代はそれからも金魚に会いに行くのを止めようとはしませんでした。
ある晩、いつものように千代が池で金魚と泳いでいると、金魚たちがいつものように歌い始めました。
龍宮に行きたいという内容の歌を聞きながら、千代はいつまでも金魚と一緒に泳ぎ回りました。
そうして、千代は池に行ったまま戻ってきませんでした。
村中大騒ぎになり、千代を探しまわりましたが、岸辺に千代の草履と着物が残っているだけでした。
不思議なことにこの日から池の金魚も姿を消してしまいました。
海女たちは、祟りなどではなく、千代は金魚と一緒に龍宮へ行ったのだと語り伝えました。