【昔話】目黒のさんま【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかし、とある将軍様が森へ鷹狩りへ出かけました。
ちょうどお昼時だったので、目黒の村の高台にある一軒の茶屋に入り昼食をとることにしました。
将軍様が腹ぺこだったのですぐ食べられるものをと考えた店主は、ありあわせのさんまを炭火で焼いて将軍様に出しました。
鯛やヒラメなどの高級魚は食べ慣れていましたが、さんまのような庶民が食べる魚を食べたことがありませんでした。
しかし、まるまると太って脂がのったさんまを一口食べると、あまりのおいしさに驚きました。
しばらく経ったある日、将軍様は目黒の茶屋で食べたさんまのことを思い出してまた食べたくなったので、食事にさんまを出すように命じました。
さんまは庶民の食べ物なので命じられた家来は困りましたが、最高級の魚といえば「銚子」ということで、すぐに銚子へ向かい新鮮なさんまを仕入れてきました。
仕入れたさんまを炭火で焼くと、たっぷりの脂が出てきました。
料理人は、さんまの脂は将軍様の体に良くないと思い、脂を全て抜いてしまいました。
さらに、邪魔な骨も全て抜き取り、見た目が良くないということで、さんまの頭も切り落としてしまいました。
こうなってしまうと、もう魚ではありませんので、料理人はさんまの身を団子にして汁に入れ、お椀で将軍様に出しました。
脂たっぷりの焼きさんまを想像していた将軍様は、お椀に入ったさんまの団子を見てがっかりしました。
将軍様が、この団子が本当にさんまなのかと問いただすと、家来は銚子で仕入れたと特上のさんまだと言いました。
それを聞いた将軍様は、銚子ではなくさんまは目黒の物に限る、と言いました。