【昔話】大泉寺のころがり石【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、商売が盛んでとてもにぎわっている町がありました。
ある夜の日から、その町に夜な夜な大きな石が、ひとりでに転がりだし、町の人たちは恐れるようになりました。
若い衆がその石を退治しようとしましたが、全く歯が立ちませんでした。
そんなある日、町に住むある人がその石の正体を知るために、いつものように石が現れた時を狙って尾行することにしました。
石の後を付けて行くと、町外れの墓場に到着しました。
さらに進むと、草が生い茂った場所に着き、そこに寂しげな石があり、町から来た石はその石と合体しました。
翌朝、町の人たちが駆けつけると、それはなんと墓石だったのです。
長い間ほったらかしにされていた墓石の周りは、雑草が生え見るも無残な状態でした。
町の人たちは、「こんな場所にほったらかしにされたから構ってほしくて、毎晩町の中を転がって誰かに知らせようとしていたのかもしれない」と言い、早速その墓石の周囲をきれいに掃除し、お供え物をしました。
その日から毎日欠かさず、墓参りをし続けたおかげで、夜な夜な石が転がることはありませんでした。