【昔話】なまけ者太郎【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに太郎と言う男がいました。
太郎は酒好きの怠け者で、いつも自分に都合のいい夢ばかりを見ていました。
ある日、太郎はいつものように昼過ぎにやっと起きて、山へ芝刈りに出かけました。
一服してからいざ仕事を始めようとしましたが、やる気がないので、すぐに指にケガをしてしまいました。
そして太郎は仕事を放り投げて、木にもたれかかって昼寝をしてしまいました。
太郎は酒を飲んで芸者遊びをしている夢を見ていました。
太郎は目隠しをして、芸妓を追いかけていましたが、ちょうど芸妓の帯をつかんで引いた時に目が覚めました。
良いところだったのに…と思っていると、「もし、太郎どの。」と誰かが太郎を呼ぶ声が聞こえてきました。
声のする方を見ると、そこには美しい娘が立っており、太郎は羽衣を手につかんでいました。
娘は、自分は天女で羽衣がないと天に帰れないのだと言いました。
そして、太郎が持っている羽衣を返してくれれば、何でも望みをかなえると約束しました。
太郎は悩んだ末、天女に自分の嫁になるよう言い、また自分も天に行きたいと願いました。
すると天女は、芝を千束作ってこれを燃やして、灰の中から生えてきたものに乗って天に来るということを条件に、その願いをかなえてくれると言いました。
それから太郎は、三日三晩一生懸命働き、とうとうあと一束で千束というところまで芝を刈りました。
しかし、元々怠け者の太郎は、一束くらいいいだろうと、一束足りない芝に火をつけました。
すると、芝が燃えた灰の中から大きなワラビが芽を出し、太郎を乗せてぐんぐん天に伸び始めました。
ところが、天まであと一歩というところででワラビは伸びるのを止めてしまいました。
太郎は天女を呼んでみましたが、千束作るという約束を守らなかった太郎を天に上げることは出来ないと天女は言いました。
そして、ワラビはみるみる縮んで、太郎は真っ逆さまに地面に落ちてしまいました。
その後、太郎がどうなったか知る者はいませんでした。