【昔話】幽霊祭【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、菊屋という海産物問屋がありました。
ここの夫婦はとても仲が悪かったので、心優しい一人娘のお菊はいつも心を痛めていました。
そこでお菊は、夫婦仲が良くなるようにと毎日お寺にお願いしに通いましたが、その願いも叶わず夫婦仲は悪くなる一方でした。
いつしかお菊は体調を崩してしまい、ある梅雨の日ついにお菊は倒れてしまい、そのまま息を引取ってしまいました。
その夜、お寺にお菊の幽霊が現れ、和尚さんに「両親の事をお願いします」と告げました。
和尚さんは、お菊の話を聞きながらその姿を紙に書き写しました。
するとそこへお菊の両親がやってきたので、和尚さんは今ここにいたお菊の幽霊のことを話し、不仲の夫婦を注意しました。
このことがあってから、お菊の両親は生まれ変わったように仲が良くなり、父も商売に精を出すようになりました。
そして毎年、お寺ではご本尊さまの御開帳の時、お菊の幽霊の絵を出して夫婦仲の大切さを説くようになりました。
この御開帳のことを「幽霊祭」と言い、後々まで伝わりました。