【昔話】鴨のごちそう【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、徳田太兵衛という地頭がいました。
頭が良くとんちにも長けていてて、時には殿さまもやり込めることができたので村人からは「ひなたやまどん」と呼ばれ慕われていました。
殿さまは何とかひなたやまどんを困らせてやろうと、ある日、近在の地頭たちに鴨料理を振舞いました。
そこでひなたやまどんのお膳だけは、大根料理にしておいたのです。
ひなたやまどんは怒って、さっさと食べてすぐに帰っていきました。
しばらくして、殿さまのもとにひなたやまどんから「山に鴨の大群が来ているので、ぜひ狩りに来てください」という手紙が届きました。
その日は灰がたくさん降っていましたが、殿さまは気にせず山へ向かいました。
ところが、あちこち走り回っても、どこにも鴨はいませんでした。
殿さまカンカンに怒りましたが、ひなたやまどんは、「先日ご馳走になった鴨は全部大根だったので、大根を鴨を呼ぶのかと思って案内いたしました」と言いました。
殿さまが走り回ったところは広い畑で、百姓たちが大根に積もった灰を一生懸命払っていました。
こうしてまたやり込められた殿さまは、ひなたやまどんを城に連れて帰り、本物の鴨をたくさん振舞いました。
こうして殿さまは灰に苦しむ村人の暮らしをひなたやまどんから聞かされ、それからは村人たちの暮らしをよく見て回るようになりました。