【昔話】かっぱ地蔵【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、高塔山がありました。
その頂上には澄んだ水が湧きだす池があり、そこにはたくさんのかっぱが住んでいて、縄張り争いを繰り広げていました。
ある年、全く雨が降らない日照りが一帯を襲いました。
多くの池や川の水が干上がったのですが、高塔山の池だけは満々と水を貯えていました。
この高塔山の池の水を巡り、縄張り争いが絶えなかったかっぱたちがさらに大戦争を始め、ふもとの村人も巻き添えになりひどい被害にあいました。
この噂を聞いた山伏がその地を訪れました。
山伏は、過去に別の土地の悪いかっぱをヘチマの葉に封印したことがあり、苦しむ人たちのために高塔山のかっぱも封じてやろうと思いやって来たのでした。
村の鍛冶屋にお願いをして、1尺の大きな鉄釘を作らせた山伏は、その足で高塔山へ登り、山頂にあるお地蔵さまの前に座ってかっぱ封じの祈とうを始めました。
これに驚いたかっぱたちは、祈りをやめさせるために、美女になって誘惑したり、財宝を見せつけたり、大蛇になって山伏を襲ってみましたが動じずに祈り続けました。
そして満願の日、祈り続ける日々に疲れ果てたその時、山伏の目の前に立つお地蔵さまの背がたった1ヵ所だけ、まるで豆腐のようにやわらかくなっていることに気がつきました。
山伏は釘をお地蔵さまの背につき立てました。
次の瞬間、すぐ近くで山伏に襲い掛かろうとしていたかっぱたちは、1匹残らず姿を消していました。
こうして、高塔山の水はふもとの村人たちのものとなり、平和が訪れました。