【昔話】鬼の足かた【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある山奥に、小さな村がありました。
その村には「洪水被害」と「人喰い赤鬼」という二つの悩みがありました。
この人喰い鬼は、村にやってきては田畑を荒らして、牛や馬を食い殺し、さらには子どもをさらったりしていました。
村人たちはあれこれ知恵を出してみましたが、鬼の力にはかなわず途方に暮れていました。
さて、この村には太一という賢くて勇気のある男の子が住んでいました。
幼い頃に両親を亡くした太一は、家族のように大切に飼っていたヤギを鬼に食い殺されてから、いつか鬼を退治してやろうと思っていました。
ある日太一が山へ薪を拾いに行くと、赤鬼が現れました。
赤鬼が太一をつかまえて食べようとしたので、太一は怖いのをぐっと隠して「あんたがゆるぎ岳の上から飛び降りるのを見せてくれたら、喜んで食べられますよ」と言いました。
赤鬼は「おれにできないことはない!!」と言い、鉄の高下駄をはいてゆるぎ岳の頂上へかけ登っていきました。
そして大きな金棒をふりかざしながら、よく見ておけ、と大声を出して勢いよく飛び降りました。
赤鬼はゆるぎ岳から真下の大岩に向かって一直線に落ちていきました。
その途中で鉄下駄が片方脱げてしまい、裸足で着地してしまいました。
赤鬼は足の骨を折り、あまりの痛さに悲鳴を上げて山奥へ逃げていきました。
赤鬼の着地した大岩には、下駄の足跡と金棒の跡と裸足の足跡がくっきり残っていました。
今でもこの大岩は「鬼の足かた」と呼ばれています。