【昔話】お殿さまと餅【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしある城に、餅が大好きな殿さまがいました。
ところがこの城はとても貧乏で、家来たちの給料もちゃんと払えないような状況でした。
あまりに貧乏なので城にはもち米がなくなり、殿さまは餅を食べることができなくなりました。
やがて正月が近づき、城下の村人たちの家で餅をつく音が城まで聞こえてくるようになりました。
その音を聞いてそわそわしている殿さまを見て、家老の爺は殿さまにある入れ知恵をしました。
それからは、殿さまは城下から餅をつく音が聞こえてくると、喜んで城下に走っていくようになりました。
餅をついている家にたどり着くと、これは見事な餅だ!と言って、村人たちがついた餅をぺろりと食べてしまいました。
そんなことが続いたある日、百姓は、「なぜ勝手に餅を食べるのですか?」と殿さまにたずねました。
すると殿さまは、「お腹がすいたら食べに来るようにと、あなたたちが呼んでくれたんですよね」と言い、にこにこして餅を全部食べました。
村人たちは集まって話し合い、どうやら餅をつくときの「ぺったらこ、ぺったらこ」という音が「減ったら来い、減ったら来い」と聞こえていたのではないかという話になりました。
餅をつき始めると、お腹を減らした殿さまがやって来て、餅を全部食べてしまうと思った村人たちは、音を立てずに餅をつく工夫をするようになりました。
臼の下に藁を敷いて音を立てないようにするのはこんな理由からだったのです。