【昔話】雪の夜泊り【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、六郎太という若者が住んでいました。
ある日、六郎太はひとりで山に狩りへ出かけたのですが、猛吹雪に遭い道に迷ってしまいました。
困っていた六郎太を、ひとりの男が小屋の中へ入れ、助けてくれました。
男は伝兵衛といい、炭焼きをしながら暮らしており、六郎太は1晩の泊めてくれるように頼みました。
伝兵衛は無愛想に「わたしが断っても、その体ではどこへも行けないだろう。わたしはこれから山を下りて村に行きますので、帰ってくるまで炉の火だけは絶対消さないでください」と言って、小屋を出て行きました。
六郎太は炉の火を絶やさないようにしましたが、火の温かみや疲れからかつい眠り込んでしまい、炉の火が消えようとしていました。
その時、大きな物音が聞こえて六郎太は目を覚まし、辺りを見回すと、小屋の奥から唸り声が聞こえてきました。
六郎太は炉の火が消えかけていることに気付き何とか火を起こした時、奥から大きな狼が現れ、襲い掛かってきました。
六郎太はとっさに燃えている薪を狼の腹に押し付けると、狼は逃げていきました。
荒らされた小屋の中を見回すと、奥には、布団に寝かされ顔を布で覆った死体が横たわっていました。
翌朝、伝兵衛が村人たちを連れて小屋へ戻ってきました。
六郎太の姿を見るなり伝兵衛は、突然謝りだしました。
六郎太が何事かと思っていると、伝兵衛は「少し前に妻を亡くしたのですが、村人を呼びに行っている間に小屋を留守にしたら、炉の火が消え妻の死体が狼に食べられてしまうと思って困っているところに六郎太がやって来たので、炉の火の番を頼んだのです」と打ち明けてくれました。
伝兵衛の話を聞いた六郎太は、恩返しができてよかった、と怒ることなく答えました。
