【昔話】衣文の里【あらすじ・ネタバレ】
むかしむかしあるところに、年老いた母と美しい娘が住んでいました。
2人は毎日仕事が終わると、村の観音さまへお参りをしていました。
それからしばらく経って、年頃になった娘は婿をもらって、母・婿・娘の生活が始まりました。
やがて娘は妊娠したのですが、出産間近になって娘が突然亡くなってしまいました。
娘の葬式がすんだ後、婿を実家に帰した母は、1人ぽっちになってしまいました。
ある日の夕方、母はいつものように観音さまにお参りをすませた帰り道に、1人の旅の僧とすれ違いました。
その時、僧の袖から何かが落ちたので、母が声をかけたのですが、僧はそのまま行ってしまいました。
僧が落としたものは、どうやら手紙だったようで、母が開いてみると「あなたの娘さんが立派な赤ん坊を生みました」と書いてありました。
驚いた母が急いで娘の墓に行ってみると、お坊さんの笠の中に入ったかわいい赤ん坊が、元気な泣き声をあげていました。
母は自分の娘が命と引き換えに生んだ赤ん坊を連れて帰って育てることにしました。
やがて婿も母のもとへ戻り、赤ん坊を一緒に育てることになりました。